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ソロ・パブリッシュ

ドリーム。

ピュシスねえさん

2016.8.15(月)

壁は瞑想している。
水道の栓も、蛇口から流れてくる水も、瞑想している。
床も、その床に立っている身体も。

物体という物体はすべて、瞑想している。

壁の色や素材、水道の水の動き、床の感触、
それらは、感覚系がとらえて、「熱い」とか「冷たい」などといった感覚のついた、
まとまった像にしたものである。
その像、その像に統合される感覚、その向こうに物そのものがあるのかどうかは、
絶対にわからない。
でも瞑想はある。
感覚の向こうに、感覚で触知できない、感覚が届かないその奥に、
瞑想としか言いようがない、滔々として非常に静かな営みがある。
むろん瞑想は、物の輪郭面によって区切られているわけではない。
壁の瞑想、床の瞑想が、それぞれ別にあるわけではない。
瞑想はひとつ。

ピュシスとは、ギリシア語で「自然」という意味である。
プロティノス哲学の研究者であるOkanoさん(リンク先一覧にある「神秘主義哲学の立場から」
の管理人さん)にうかがったところ、ピュシスは女性名詞とのこと、
また、プロティノスの著書『エネアデス』の翻訳文中には、
寡黙でおとなしい、「若草物語」のベスみたいなキャラでその独白が綴られていたので、
物理世界一切の構造設計家である自然のことを、
私は勝手に「ピュシスねえさん」と呼んでいる。

人が愛でる木々や草花、清流、澄んだ大気、小動物のみならず、
人が忌み嫌ったり怖れたりする濁流、濁った大気、ある種の昆虫、腐敗した有機物、排泄物、
放射線や化学物質も、
人の実用品である家具、食器、家電、通信機器などの類も、
人の身体も、
物理世界のありとあらゆる相が、ピュシスねえさんの作品である。
彼女は、「これは素敵」とか「これはサイアク」とかいった思惑を一切はさまず、
ただ黙々と、湧き出るようにこんこんと、倦まずたゆまず、仕事を遂行している。
区別なく、起伏なく、すべてに対して等しく、全方位神対応で。

私の感覚の向こうに降りている瞑想は、ピュシスねえさんの瞑想なのか。
それとも瞑想しているのは私=魂なのか。
そう問うと、「瞑想はひとつではなかったか?(ソフィア@シリウス)」という声が届く。
ならば、この区別は無意味ということか。
これは、「荘周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に荘周と為れるか」の心地を想起させる。

私は、私の反応(感覚や感情や思い)に気づくこと、
無意識に「これが私」と同一化してしまいがちな反応を意識していることが、
観察だと思っていた。
ちがう。そうじゃないのだ。
感覚や感情や思いは、たしかに通り過ぎていく。そして何度もめぐってくる。
輪廻するのは生命ではなく、こうした反応なのである。
その向こうにある、事物の(と、敢えて書く)瞑想を見ることが真の観察なのだ。
そして、瞑想を見ることが瞑想である。

そうしてみると、面白いことに気づく。
スピリチュアリストの人たちが、たいてい「思考」のフォルダに入れ、そこから削除→
ごみ箱を空にする、という処理を推奨している「言葉」。
しかし言葉も瞑想しているのである。

たとえば、メディアで誰かが私をイラっとさせるようなことを言っているとする。
または、「こういう人には何を言ってもだめだ。言葉が通じないわ」
と思ってしまう文章を見る。
そうした火花のような反応が過ぎ去ってしまえば、
発声された音声とか、書かれたり印刷されたりした文字は、
深々と瞑想しているのである。
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  1. 2016/08/15(月) 15:35:01|
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